身体の構造
江戸時代前後の鍼の流派に、夢分流という古鍼術があります。
その流派の治療家達は、お腹に鍼を刺したり、木槌でお腹に当てた太い鍼を叩いて振動を与えて治療していたそうです。
どんな症状でも、お腹にだけアプローチして治していたそうです。
これは、現代でいう足ツボマッサージや耳のツボでダイエット効果を促す治療と相似しています。
鍼灸治療でも主に、頭にだけ鍼をされる先生もいらっしゃいます。
現代医学では、脳の中の刺激を感じる所、内臓や筋肉などと、体表の皮膚のデルマトーム(皮膚感覚帯の事で、神経根ごとの皮膚表面の感覚(触覚、痛覚、温度覚)の領域を表したもの)が近くにあるので、反射が起こり、効果があると言われています。
いわゆる、体性ー内臓(体性)反射です。
フォノグラムでは、音の振動の伝わり方を図形化してみると、身体はフラクタル構造に創られているという事が発見できます。
例えば、足の裏には、身体の全体の情報が詰まっているし、頭皮や耳でもそうです。
夢分流の残っている古書には、お腹に内臓(機能)と対応する箇所が図形化されているものが見られます。
そして、もうひとつは、お腹に人の姿が描かれている図もあります。
この2つの図を駆使して、お腹だけで、身体全体の治療に対応していたという話です。
現代では、細胞1つから得られるDNAの情報には、その人の身体の全ての情報が詰まっているといわれています。
それも、フラクタル構造を表しているのだと思います。
また、フォノグラム(音の伝わり方を図形化したもの)と鍼灸医学でいう経絡とは本質的には同じです。
現在学校の教科書に載っている経絡図は、ツボの並びを繋げた体表に描ける線(ライン)ですが、本来経絡というのは臨床で作られたマニュアル図の様なものです。
それを目安に、現場で生きたツボを探していたのだと思います。
実際、古書に記載されている経絡図には、内臓を通って体表に現れる様子が伺えます。
昔の治療家達は、臨床において、本質を捉えて経験を積み重ねていったのではないでしょうか。
それを、現在の我々が情報を紐解く事で使わせて頂いているのだと思います。